実録!未払賃金請求訴訟
.サービス残業撲滅!未払い賃金を取り戻せ!- 本人訴訟・裁判の全記録 -
Contents
はじめに
事件の経緯
請求の手順
残業代の計算方法
提訴 民事訴訟
第1回口頭弁論
第2回口頭弁論
第3回口頭弁論
第4回口頭弁論
第5回口頭弁論
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 原告 第2準備書面 
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[平成17年02月03日]

平成16年(ワ)第999号
原告 金時 貢
被告 株式会社 丸得システム・プランニング
第2準備書面
帝国地方裁判所民事係 御中
原告 金時 貢 (印)


第1 全体朝礼について
 本社指導による全店舗合同の全体朝礼が行われていた事実は、被告の主張するとおりである。
しかし、この全体朝礼が任意参加であったとの主張は否認する。
 被告が、全体朝礼への参加を義務付けていたことは、期日前に全従業員に対して通達のあった総務部の電子メール(甲8号証 全体朝礼に関する電子メール 写し)に、「当日出勤者は必ず参加してください」と明記されていることからもわかる。
 全体朝礼は、本社の監督下で行われ、社長及び本社マネージャー等による業務の計画、指示、命令等が内容の中心であり、この時間の拘束は、明らかな労働であったと言える。
 よって、全体朝礼が任意参加のもので、一切義務付けされておらず、支給の対象とはならないとする被告の主張は認められない。原告が全体朝礼に参加した時間に対して、被告は当然に賃金の支払いをするべきであり、請求を棄却する理由はない。


第2 勉強会について
 営業時間終了後に、本社指導による勉強会が行われていた事実は、被告の主張するとおりである。
この勉強会は、被告も認めているとおり、本社マネージャーが各店舗従業員に対し、新商品や重点商品の販売戦略等について講義を行っていたものであるが、特定商品の販売戦略のみならず、業務の計画、指示、命令等も併せて行われていた。
 各店舗では、営業時間の終了後に、本社担当者から指示された資料の印刷や、テレビ会議に必要な機器の設置等の準備を行い勉強会に参加していた。
 被告は、本社の監督下にあったことを認めているにも係わらず、この勉強会も任意参加であり、支給の対象としていないと主張しているが、これに対しても期日前に全従業員に通達されていた各マネージャー及び総務部の電子メール(甲9号証 勉強会に関する電子メール 写し)では、やはり同様に当日出勤者全員の参加を義務付けしていた。
 また、被告の就業規則(甲1号証 第48条)には、「会社は従業員の人格を統治し、知識を高め、かつ技術の向上を図るための教育訓練を行う。従業員は特別の理由がない限り、この教育訓練を拒んではならないとの規定があり、勉強会への参加を強制的に義務付けしていたのみならず、参加行為が「就業」状態であると認めているのである。
 事実、その名称を問わず、勉強会が従業員の知識を高め、かつ技術の向上を図る目的で行われていたのは被告の主張のとおりである。

 被告は、勉強会の後に業務は行われていなかったと主張しているが、原告の所属事業所においては、勉強会の後に終礼が行われていた。これは、勉強会で受けた指示、命令等を所属長が各従業員に確認及び補足し、再度周知徹底させるためであり、終礼が勉強会の後に行われていたのは、ごく自然なことであると言える。
 また、このとき本社の指示内容によっては、終礼の前後に各従業員が商品及び売り場の見直しを行う場合もあり、そのため、勉強会の終了時間が即退社時間とならないのは言うまでもなく、原告が、被告に対して賃金の支払いを求めるのは当然である。


第3 タイムカードの押し忘れについて
 原告が、何度かタイムカードの押し忘れをした事実については認める。
しかし、所属長と打刻時間が近接しているというだけで、被告準備書面の「押し忘れ一覧表」にある全てが、タイムカードの押し忘れであったとする主張は否認する。
 所属事業所において常時従業員が一斉に退社していた訳ではなく、終礼後であっても各自の担当である業務を行っていた。これは、たとえば各従業員の担当する商品の発売時期が異なるためであり、担当分野ごとに本社の指示等があったためである。
原告以外の一般従業員が退社した後に原告が残業を行い、原告の退社が所属長と同時刻になることもあった。
 また、この「押し忘れ一覧表」によれば、「実際の退社時刻」として、営業時間終了の午後7時30分から数えて、最短で46分後、最長で2時間2分後の時刻が示されているが、これは、被告自身も営業時間外の労働があった事実を認める行為に他ならない。


第4 出社前の着替えについて
 原告は、出社前ではなく、出社後に着替えをしていた。
これは被告の主張のとおり、経営管理上の見地から義務付けられた制服への着替えであり、これら業務の準備行為等が労働時間であることは判例により認められている。(最一小判平12.3.9 労判778号等)


第5 タイムカード上の残業時間における怠業について
1. 原告の所属事業所では閉店後、レジ金銭管理や清掃を終えた従業員が順次事務所に集合し、伝票管理等の業務を行っていたが、その時間から終礼までの間に事務所で喫煙等を行うことがあった事実は認める。しかし、これらは怠業といえるほどのものではない。
 被告は、通常午後8時10分くらいには終礼が終了していたとして、その後、従業員全員が怠業状態にあり、故意に退社しなかったような主張をしているが、これは、午後8時10分以降も依然として従業員全員が拘束状態にあった事実を示しているのであって、第3項の「押し忘れ一覧表」にあるとおり、被告自身が認定している退社時刻ですら、その全てが午後8時10分以降なのを見ても、明らかに矛盾した主張であると言える。
2. 被告は、所属長の承認による残業代の支給申請があれば、正規の残業代を支給していると主張しているが、被告総務部による通達である、「社内規程・ルールの徹底」(甲10号証)には、開店前の30分間及び閉店後の45分間は、残業として取り扱わないことを明記しており、これによれば、原告の所属事業所では、たとえ申請があったとしても午後8時45分までは残業として認められていなかったのである。
(※閉店時間の午後7時30分から数えて、45分後は午後8時15分ですが、甲10号証に記載の計算基準表によれば、30分単位の賃金計算を行っていたため、午後8時45分以降になってはじめて残業の支給対象とされていた。 不正の事実はこちらを参照してください)

 被告会社では、形式上、いわゆる残業の自主申告制度が布かれ、所属長の承認を得る必要があった。そのため原告は、所属長に対して度々営業時間外は全て時間外労働であると申告していたが、本社が認めないとしてその承認を得られず、所属長による残業代の支給申請についても、甲10号証を基準に計算されていた。
 原告が、平成16年10月25日に元の所属長であったH氏に確認したところによれば、甲10号証の計算基準ですら、あまりにも残業が多くなり、本社より注意を受けるため、従業員の残業状態を認めていたものの、午後9時15分以降にならなければ、残業の申請をしていなかったという事実を聞かされた。
 これらが、被告会社における法令に著しく違反した不当な残業の実態であり、事実、被告が支給した残業代には、閉店後45分間の支払いは含まれていなかった。
被告の主張する正規の残業代ですら、すべてこうした独自基準によるものなのである。


第6 原告の主張
 被告の主張している、朝礼及び終礼が任意参加でなかったことは、社員手帳・服務心得(甲11号証 社員手帳・服務心得(抜粋)写し)出勤・第3項にある朝礼には必ず出席し、朝礼で聞いたことは実践しましょう」という規定や、所属長が作成していた月間の休日日程表(甲12号証)に各号令の担当者が記名されていることからも明らかである。

 既に、原告の開示請求に対し、被告は労使協定(36協定)のなかった事実を認めている。
被告会社では、労使協定がないにも係わらず、労働者の無知につけ込んで、故意に労働基準法第32条に違反した時間外労働を慣例化していた。
 労働基準法は強行法規であるから、たとえ労使合意のうえで賃金を支払わないという申し合わせがあったとしても、その労使の合意自体が同法第32条に抵触するから無効であり、労働に参加した従業員に対しては、法令による計算基準で賃金を支払わねばならない。


 被告の不正に対し、原告以外にも内外より非難の声のあることは、第1準備書面に記載したとおりであるが、平成16年12月には、被告の元王国店従業員であった、志操氏を原告とする未払賃金等請求訴訟(王国地方裁判所 平成16年(ワ)111号)が提起された事実を併せて通知し、原告らの請求が全従業員共通の問題であることを再度確認していただきたい。

以上

添付書証

甲8号証   全体朝礼に関する電子メール 写し
甲9号証   勉強会に関する電子メール 写し
甲10号証  社内規程・ルールの徹底 写し
甲11号証  社員手帳・服務心得(抜粋) 写し
甲12号証  休日日程表 写し
....

  
※労使協定がないことを事前に確認していたため、ほぼ原告の意図する主張ができたかと思います。
これでやっと被告の言う「任意参加及び無給取り扱い」である、開店から朝礼までの時間、閉店から終礼までの時間、全体朝礼、勉強会等が、たとえ任意であっても参加した以上は「支払いの対象」であると認めざるを得ないのではないでしょうか。(まだ認めないというなら、その主張の根拠となる法令の条文や判例等を示していただきたいものです。 この期に及んで「独自基準」は通用しませんよ)

全体朝礼や勉強会が本社指導のもので、本社の監督下にあった事実を被告自身が認めているにも係わらず、どうやって支払いを免れる気なのかと本当に困惑してしまいます…
被告の主張が認められれば、労働判例として実に画期的なものとなり、世間の注目を集めることでしょう。


追記 「社内規程・ルールの徹底」は事務所に備え付けの労使契約関連ファイルの中にあります。 原告の主張の他にも、30分単位(全額払い違反)の残業計算や、「1分の遅刻でも30分時給が減ります」などと驚くべき内容満載ですから、証拠として、是非収集しておきましょう。(労働の契約及び条件に係わる書面ですから、これを故意に隠匿する指示は犯罪ですよ〜)


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