諸子百家争鳴 - 中国古典思想の世界 - 論語/孔子/孟子/大学/中庸/荀子/老子/荘子/列子/韓非子/孫子/墨子/史記
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 ■論語(ろんご) 10巻20篇 11,705字
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 孔子(こうし) - 生没年:前551 - 前479 姓:子 氏:孔 名:丘 字:仲尼 出身地:魯国昌平郷陬邑
 儒家の始祖にして世界三聖の一人。貧賤の出であり、早くに両親を失いながらも善く礼学を修めたという。
 魯に仕えて仁政を行ったが、定公らに失望して出国し、以後14年間に渡って諸国遊説の旅を続けた。
 70歳手前で魯に帰り、後学のために諸々をまとめ、73歳で没した。孔子一門は3,000人を数えたといわれる。
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 『論語』 孔丘弟子/金谷治/岩波文庫 …> [関連書籍] 
 古代中国の大古典「四書」のひとつで、孔子とその弟子たちの言行を集録したもの。
 人間として守るべきまた行うべき、しごく当り前のことが簡潔な言葉で記されている。
 長年にわたって親しまれてきた岩波文庫版『論語』がさらに読みやすくなった改訂新版。
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■孔子(こうし) - 生没年:前551 - 前479 姓:子 氏:孔 名:丘 字:仲尼 出身地:魯国昌平郷陬邑 …
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儒家の始祖にして世界三聖の一人。貧賤の出であり、早くに両親を失いながらも善く礼学を修めたという。
魯に仕えて仁政を行ったが、定公らに失望して出国し、以後14年間に渡って諸国遊説の旅を続けた。
70歳手前で魯に帰り、後学のために諸々をまとめ、73歳で没した。孔子一門は3,000人を数えたといわれる。

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■『論語』について …
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『論語』(10巻20篇)は四書の一で、孔子と門弟の言行録。戦国初期から編纂が始まり漢代に成立。
論述の内容は「仁」を中心としながら、学問・教育・交友・処世・儀礼・政治など様々な分野に及ぶ。
その教えは適切中正であり、叙述は簡潔平易。儒家の中心経典として中国伝統思想の根幹となった。
我が国には、応神天皇の16年(285)、百済の王仁(和邇吉師)により『千字文』とともに伝えられたという。

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■本頁について
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『論語』 20篇(岩波文庫版、講談社学術文庫版は512章)から概要・重要文句を抄出した。
各篇の章立て・書き下し・注釈は、『論語』(金谷治/岩波文庫)『論語』(加地伸行/講談社学術文庫)による。
「曾子曰わく」など、特に発言者の名が挙げられていないものについては、基本的にすべて孔子の言行である。
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付:「孔門七十子」は、『史記』 仲尼弟子列伝(司馬遷/小竹文夫・小竹武夫/ちくま学芸文庫)による。
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※本頁は上記本の補助的な目次・ガイドを目指し作成しています。現代語訳や注釈等は訳本をご確認ください。

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■論語(ろんご) 10巻20篇512章 11,705字(抄録)
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01 学而(がくじ) 第一 凡16章
├01 子(孔子)の曰(のたま)わく、学びて時にこれを習う、亦(ま)た説(よろこ)ばしからずや。
├─ 朋(とも)あり、遠方より来たる、亦た楽しからずや。人知らずして慍(うら)みず、亦た君子ならずや。
├02 有子曰(い)わく - 君子は本(もと)を務む。本立ちて道生ず。孝弟なる者は其れ仁の本たるか。
├03 巧言令色、鮮(すく)なし仁。巧言令色 →陽貨17-17
├04 曾子曰わく - 吾れ日に三たび吾が身を省みる。人の為に謀りて忠ならざるか、朋友と交わりて信ならざるか、習わざるを伝うるか。
├06 弟子(ていし)、入りては則ち孝、出でては則ち弟、謹みて信あり、汎(ひろ)く衆を愛して仁に親しみ、行いて余力あれば則ち以て文を学ぶ。
├08 忠信を主とし、己に如(し)からざる者を友とすることなかれ。過(あやま)てば則ち改むるに憚(はばか)ること勿(な)かれ。
├12 有子曰わく - 礼の用は和を貴しと為す。 和を知りて和すれども、礼を以てこれを節せざれば、亦た行なわれず。 →聖徳太子
├13 有子曰わく - 信、義に近づけば、言復(ふ)むべし。恭、礼に近づけば、恥辱に遠ざかる。
├14 君子は食飽かんことを求むること無く、居安からんことを求むること無し。
├15 子貢、詩に学ぶ - 切するが如く磋するが如く、琢するが如く磨するが如し(『詩経』衛風・淇奥) →切磋琢磨
└16 人の己れを知らざることを患(うれ)えず、人を知らざることを患う。 →里仁04-14・憲問14-32・衛霊公15-19

02 為政(いせい) 第二 凡24章
├01 政を為すに徳を以てすれば、譬(たと)えば北辰の其の所に居て衆星のこれに共(むか)うがごとし。
├02 詩三百、一言以てこれを蔽(おお)う、曰わく、思い邪(よこしま)なし。 →思い邪無し、馬の斯(ここ)に徂(ゆ)くを思う(『詩経』魯頌・駉)
├03 これを道びくに徳を以てし、こてを斉(ととの)うるに礼を以てすれば、恥ありて且(か)つ格(ただ)し。
├04 吾れ十有五にして学に志す。三十にして立つ。四十にして惑わず。五十にして天命を知る。
├─ 六十にして耳順(した)がう。七十にして心の欲する所に従って矩(のり)を踰(こ)えず。 →志学・而立・不惑・知命・耳順・従心
├06 孟武伯、孝を問う - 父母には唯だ其の疾(やまい)をこれ憂えしめよ。
├07 子游、孝を問う - 今の孝は是れ能(よ)く養なうを謂う。犬馬に至るまで皆な能く養なうこと有り。敬せずんば何を以て別(わか)たん。
├09 顔回を評す - 違(たが)わざること愚なるが如し。
├11 故きを温(あたた)めて新しきを知る、以て師と為るべし。温故知新 ※朱熹新注では「温(たず)ねて」と読ませる
├12 君子は器(うつわ)ならず。
├13 子貢、君子を問う - 先ず其の言を行い、而して後(のち)にこれに従う。
├14 君子は周して比せず、小人は比して周せず。
├15 学んで思わざれば則ち罔(くら)し。思うて学ばざれば則ち殆(あや)うし。
├16 異端を攻(おさ)むるは斯れ害のみ。
├17 子路に知るを説く - これを知るをこれを知ると為し、知らざるを知らざると為せ。是れ知るなり。
├18 子張、禄を干(もと)めんことを学ぶ - 言に尤(とがめ)寡(すく)なく、行(こう)に悔(くい)寡なければ、禄は其の中に在り。
├19 哀公、政を問うて - 直きを挙げて諸(こ)れを枉(まが)れるに錯(お)けば則ち民服す。
└24 其の鬼(き)に非ずしてこれを祭るは、諂(へつら)いなり。義を見て為(せ)ざるは、勇なきなり。 対:敢えてするに勇なれば…(『老子』73章)

03 八佾(はちいつ) 第三 凡26章
├01 季氏、八佾、庭(てい)に舞わす、是れをしも忍ぶべくんば、孰(いず)れをか忍ぶべからざらんや。
├07 君子は争う所なし。必ずや射か。
├13 王孫賈、孔子を誘う - 其の奧(おう)に媚びんよりは、寧(むし)ろ竈(そう)に媚びよ
├15 孔子、礼を知らず? - 事ごとに問う。 是れ礼なり。
├17 子貢に曰わく - 賜(し)や、女(なんじ)は其の羊を愛(おし)む、我れは其の礼を愛む。
├21 哀公、社を宰我(さいが)に問う - 成事(せいじ)は説かず、遂事(すいじ)は諌(いさ)めず、既往(きおう)は咎(とが)めず。
├22 管仲(かんちゅう)の器(うつわ)は小なるかな。
├24 儀の封人、孔子を評す - 天、将(まさ)に夫子(ふうし)を以て木鐸と為さんとす。
└26 上(かみ)に居て寛(かん)ならず、礼を為して敬せず、喪に臨みて哀しまずんば、吾れ何を以てかこれを観んや。

04 里仁(りじん) 第四 凡26章
├01 仁に里(お)るを美(よ)しと為す。択(えら)んで仁に処(お)らずんば、焉(いずく)んぞ知なることを得ん。
├02 仁者は仁に安んじ、知者は仁を利とす。
├03 惟(た)だ仁者のみ能く人を好み、能く人を悪(にく)む。
├04 苟(まこと)に仁に志せば、悪しきこと無し。
├05 君子、仁を去りて悪(いずく)にか名を成さん。君子は食を終うる間も仁に違うことなし。
├─ 造次(ぞうじ)にも必ず是(ここ)に於てし、巓沛(てんはい)にも必ず是に於いてす。 →造次顛沛
├06 我れ未だ仁を好む者、不仁を悪くむ者を見ず。仁を好む者は、以てこれに尚(くわ)うること無し。
├07 人の過(あやま)つや、各々其の党(たぐい)に於いてす。過ちを観て斯に仁を知る。
├08 朝(あした)に道を聞きては、夕べに死すとも可なり。
├09 士、道に志(こころざ)して、悪衣悪食を恥ずる者は、未だ与(とも)に議(はか)るに足らず。悪衣悪食
├10 君子の天下に於けるや、適も無く、莫(ばく)も無し。義にこれ与(とも)に比(した)しむ。
├11 君子は徳を懐(おも)い、小人は土(ど)を懐う。君子は刑を懐い、小人は恵を懐う。
├12 利に放(よ)りて行えば、怨み多し。
├14 位なきことを患(うれ)えず、立つ所以(ゆえん)を患う。
├─ 己を知ること莫(な)きを患えず、知らるべきことを為すを求む。 →学而01-16・憲問14-32・衛霊公15-19
├15 曾子曰わく - 吾が道は一(いつ)以てこれを貫く。 夫子(ふうし)の道は忠恕(ちゅうじょ)のみ。
├16 君子は義に喩(さと)り、小人は利に喩る。
├17 賢を見ては斉(ひと)しからんことを思い、不賢を見ては内に自ら省みる。
├18 父母に事(つか)うるには幾(ようや)くに諌(いさ)め、志しの従わざるを見ては、又た敬して違(たが)わず、労して怨みず。
├19 父母在(いま)せば、遠く遊ばす。遊ぶこと必ず方(ほう)あり。
├21 父母の年は知らざるべからず。一は則ち以て喜び、一は則ち以て懼(おそ)れる。
├22 古の者、言をこれ出(い)ださざるは、躬(み)の逮(およ)ばざるを恥じてなり。
├23 約を以てこれを失する者は、鮮(すく)なし。
├24 君子は言に訥(とつ)にして、行(こう)に敏ならんと欲す。 →訥言敏行
├25 徳は孤ならず。必らず隣あり。
└26 君に事(つか)うるに數(しばしば)すれば、斯(ここ)に辱(はずか)しめられ、朋友に數すれば、斯に疎(うと)んぜらる。

05 公冶長(こうやちょう) 第五 凡28章
├01 子、公冶長を謂わく、妻(めあ)わすべきなり。
├04 子貢を評す - 女(なんじ)は器(うつわ)なり。 瑚璉(これん)なり。 →為政02-12 君子は器ならず。
├05 焉(いずく)んぞ佞を用いん。人に禦(あた)るに口給(こうきゅう)を以てすれば、屡(しばしば)人に憎まる。
├09 子貢の顔回評 - 回や一を聞きて以て十を知る。賜や一を聞きて以て二を知る。
├10 宰予の昼寝 - 朽木(きゅうぼく)は雕(ほ)るべからず、糞土(ふんど)の牆(かき)は朽(ぬ)るべからず。
├14 子路、聞くこと有りて、未だこれを行うこと能(あた)わざれば、唯(た)だ聞く有らんことを恐る。
├15 孔文子を評す - 敏にして学を好み、下問(かもん)を恥じず
├21 甯武子を評す - 邦(くに)に道有れば則ち知、邦に道なければ則ち愚。其の知は及ぶべきなり、其の愚は及ぶべからざるなり。
├23 伯夷・叔斉、旧悪を念(おも)わず。怨み是(ここ)を用(もっ)て希(まれ)なり。
├25 巧言、令色、足恭(すうきょう)なるは、左丘明これを恥ず。 怨みを匿(かく)して其の人を友とするは、左丘明これを恥ず。
├26 老者はこれを安んじ、朋友はこれを信じ、少者はこれを懐(なつ)けん。
├27 已(や)んぬるかな。吾れ未だ能く其の過(あやま)ちを見て内に自ら訟(せ)むる者を見ざるなり。
└28 十室の邑(ゆう)、必ず忠信、丘が如き者あらん。丘の学を好むに如(し)かざるなり。

06 雍也(ようや) 第六 凡30章
├01 冉雍を評す - 雍や南面せしむべし。
├03 顔回を評す - 顔回なる者あり、学を好む。怒りを遷(うつ)さず、過ちを弐(ふた)たびせず。
├04 子華、斉に使いす - 君子は急を周(すく)うて富めるに継がず。
├07 顔回を評す - 其の心三月(さんがつ)仁に違わず。
├09 閔子騫曰わく - 善(よ)く我が為に辞せよ。如(も)し我れを復たする者あらば、則ち吾れは必ず汶(ぶんすい)の上(ほとり)に在あらん。
├10 伯牛、疾(やまい)あり - これを亡ぼせり、命(めい)なるかな。斯(こ)の人にして斯の疾あること、斯の人にして斯の疾あること。
├11 顔回を評す - 一箪(いったん)の食(し)、一瓢(いちびょう)の飲、陋巷(ろうこう)に在り。
├─ 人は其の憂いに堪えず、回や其の楽しみを改めず。 →箪食瓢飲
├12 冉求に諭す - 力足らざる者は中道にして廃す。今女(なんじ)は画(かぎ)れり。
├13 子夏に曰わく - 女(なんじ)、君子の儒(じゅ)と為れ。小人の儒と為ること無かれ。
├14 子游、澹台滅明を評す - 行くに径(こみち)に由らず、公事に非らざれば未だ嘗て偃(えん)の室に至らざるなり。
├15 孟之反を評す - 敢て後(おく)れたるに非らず、馬進まざるなり。
├18 文質彬彬(ひんぴん)として然る後に君子なり。 →文質彬彬
├19 人の生くるは直(なお)し。これを罔(し)いて生くるは、幸(さいわい)にして免ぬがるるなり。
├20 これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず。
├21 中人(ちゅうじん)以上には、以て上(かみ)を語(つ)ぐべきなり。中人以下には、以て上を語ぐべからざるなり。
├22 樊遅、知・仁を問う - 民の義を務め、鬼神を敬してこれを遠ざく、知と謂うべし。 仁者は難きを先にして獲るを後にす。仁と謂うべし。
├23 知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ。知者は動き、仁者は静かなり。知者は楽しみ、仁者は寿(いのちなが)し。
├27 博く文を学びて、これを約するに礼を以てせば、亦た以て畔(そむ)かざるべきか。 →博文約礼
├28 孔子、南を見る - 予(わ)が否(すまじ)き所の者は、天これを厭(た)たん。天これを厭たん。
├29 中庸の徳たるや、其れ至れるかな。『中庸』
└30 子貢、仁を問う - 仁者は己れ立たんと欲して人を立て、己れ達せんと欲して人を達す。

07 述而(じゅつじ) 第七 凡37章
├01 述(の)べて作らず、信じて古(いにしえ)を好む。
├02 黙してこれを識(しる)し、学びて厭(いと)わず、人を誨(おし)えて倦(う)まず。
├03 徳の脩めざる、学の講ぜざる、義を聞きて徙(うつ)る能(あた)わざる、不善の改むる能わざる、是れ吾が憂いなり。
├05 甚だしいかな、吾が衰えたるや。久し、吾れ復た夢に周公を見ず。
├06 士人とは - 道に志し、徳に依り、仁に依り、芸に游(あそ)ぶ。
├07 束脩(そくしゅう)を行うより以上は、吾れ未だ嘗(かつ)て誨(おし)うること無くんばあらず。
├08 憤(ふん)せずんば啓せず。悱(ひ)せずんば発せず。一隅を挙げてこれに示し、三隅を以て反えらざれば、則ち復たせざるなり。
├10 顔回に謂いて曰わく - これを用うれば則ち行い、これを舎(す)つれば則ち蔵(かく)る。唯だ我と爾(なんじ)と是れあるかな。 →用舎行蔵
├─ 子路に諭す - 暴虎馮河(ぼうこひょうが)して死して悔いなき者は、吾れ与(とも)にせざるなり。暴虎馮河
├─ 必ずや事に臨(のぞ)みて懼(おそ)れ、謀(ぼう)を好みて成さん者なり。
├11 富(とみ)にして求むべくんば、執鞭(しつべん)の士と雖も、吾れ亦たこれを為さん。如(も)し求むべからずんば、吾が好む所に従わん。
├13 斉に在して韶を聞く - 三月、肉の味を知らず。
├14 伯夷・叔斉、仁を求めて仁を得たり。又た何ぞ怨みん。
├15 疏食(そし)を飯(くら)い水を飲み、肱(ひじ)を曲げてこれを枕とす。楽しみ亦(ま)た其の中に在り。
├─ 不義にして富み且つ貴きは、我れに於て浮雲(ふうん)の如とし。
├18 葉公、子路に問う - 其の人と為りや、憤りを発して食を忘れ、楽しみて以て憂いを忘れ、老いの将に至らんとするを知らざるのみ。発憤忘食
├19 我は生まれながらにしてこれを知る者に非らず。古(いにしえ)を好み、敏にして以てこれを求めたる者なり。
├20 子、怪力乱神を語らず。
├21 我れ三人行なえば必ず我が師を得(う)。其の善き者を択びてこれに従う。其の善からざる者にしてこれを改む。
├22 天、徳を予(わ)れに生(な)せり。桓魋(かんたい)其れ予れを如何とす。
├24 子、四つを以て教う。文、行、忠、信。
├25 善人は吾れ得てこれを見ず。恒(つね)ある者を見るを得ば、斯れ可なり。
├26 子、釣(つり)して綱(こう)せず。弋(よく)して宿を射ず。
├27 多く聞きて其の善き者を択(えら)びてこれに従い、多く見てこれを識(しる)す
├28 其の進むに与(くみ)するなり。其の退くに与せざるなり。
├29 仁遠からんや。我れ仁を欲すれば、斯(ここ)に仁至る。
├33 これを為して厭(いと)わず、人を誨(おし)えて倦(う)まず
├35 奢(おご)れば則ち不孫(ふそん)、倹なれば則ち固(いや)し。其の不孫ならんよりは寧(むし)ろ固しかれ。
├36 君子は坦(たいら)かに蕩蕩(とうとう)たり。小人は長(とこしな)えに戚戚(せきせき)たり。
└37 子は温にして厲(はげ)し、威にして猛ならず。恭(うやうや)しくして安し。

08 泰伯(たいはく) 第八 凡21章
├01 泰伯は其れ至徳と謂うべきのみ。三たび天下を以て譲る。民得て称すること無し。
├02 君子、親(しん)に篤ければ、則ち民仁に興こる。
├04 曾子、病床で曰わく - 鳥の将(まさ)に死なんとするや、其の鳴くこと哀し。人の将に死なんとするや、其の言うことや善し。
├05 曾子曰わく - 能を以て不能に問い、多きを以て寡(すく)なきに問い、有れども無きが若(ごと)く、
├─ 実(み)つれども虚しきが若く、犯されて校(むく)いず。
├07 曾子曰わく - 士は以て弘毅(こうき)ならざるべからず。任重くして道遠し。
├─ 仁以て己が任と為す、亦(ま)た重からずや。死して後已(や)む、亦た遠からずや。
├08 詩に興こり、礼に立ち、楽に成る。
├09 民はこれに由(よ)らしむべし。これを知らしむべからず。
├10 勇を好みて貧しきを疾(にく)むは、乱なり。人にして不仁なる、これを疾むこと已甚(はなはだ)しきは、乱なり。
├12 三年学びて穀(こく)に至らざるは、得やすからざるのみ。
├13 篤く信じて学を好み、死を守りて道を善くす。危邦(きほう)には入らず、乱邦には居らず。天下道あれば則ち見(あらわ)れ、
├─ 道なければ則ち隠る。邦に道あるに、貧しくして且つ賎(いや)しきは恥なり。邦に道なきに、富て且つ貴きは恥なり。
├14 其の位に在らざれば、其の政(まつりごと)を謀(はか)らず。 →憲問14-27,28 君子は思うこと其の位を出でず。
├16 狂にして直ならず、侗(とう)にして愿(げん)ならず、悾悾(こうこう)にして信ならず。吾れはこれを知らず。
├17 学は及ばざるが如くするも、猶(な)おこれを失わんことを恐る。
├20 (文王、西伯と為りて)天下を三分して其の二を有(たも)ち、以て殷に服事す。周の徳は、其れ至福と謂うべきのみ。 →天下三分
└21 禹は吾れ間然(かんぜん)とすること無し。

09 子罕(しかん) 第九 凡32章
├01 子、罕(まれ)に利と命と仁とを言う。
├02 吾れは何を執(と)らんか、御(ぎょ)を執らんか、射(しゃ)を執らんか。吾れは御を執らん。
├04 子、四を絶つ。意なく、必なく、固なく、我なし。
├05 天の未(いま)だ斯の文を喪ぼさざるや、匡人(きょうひと)其れ予(わ)れを如何(いかん)とす。
├06 多能多芸 - 吾れ少(わかく)して賎(いや)し。故に鄙事(ひじ)に多能なり。
├07 多能多芸 - 吾れ試(もち)いられず、故に芸あり
├09 鳳鳥(ほうちょう)至らず、河(か)、図(と)を出ださず。吾れ已(や)んぬるかな。
├11 顔回の孔子評 - これを仰げば彌(いよいよ)高く、これを鑽(き)れば彌々堅し。
├13 子貢問う - これを沽(う)らんかな、これを沽らんかな。我れは賈(こ)を待つ者なり。
├17 川の上(ほとり)で - 逝く者は斯(か)くの如きか。昼夜を舎(や)めず。
├18 吾れ未だ徳を好むこと色を好むが如くする者を見ざるなり。
├19 止(や)むは吾が止むなり。 進むは吾が往くなり。
├21 顔回を評す - 吾れ其の進むを見るも、未だ其の止むを見ざるなり。
├23 後生(こうせい)畏(おそ)るべし。焉(いずく)んぞ来者(らいしゃ)の今に如(し)かざるを知らんや。 →後生可畏
├─ 四十五十にして聞こゆること無くんば、斯れ亦た畏るるに足らざるのみ。
├25 忠信を主とし、己に如(し)かざる者を友とすること無かれ。過てば則ち改むるに憚(はば)かること勿かれ。
├26 三軍も帥を奪うべきなり。匹夫も志しを奪うべからざるなり。
├28 子路、終身これを誦(しょう)す - 忮(そこな)わず求めず、何を用(もっ)てか臧(よ)からざらん。
├29 歳(とし)寒くして、然る後に松柏(しょうはく)の彫(しぼ)むに後(おく)るることを知る。
├30 知者は惑わず、仁者は憂えず、勇者は懼(おそ)れず。
└32 唐棣(とうてい)の華(はな)、偏(へん)として其れ反せり。豈に爾(なんじ)を思わざらんや、室是れ遠ければなり(逸詩)

10 郷党(きょうとう) 第十 凡23章
├01 孔子、郷党(きょうとう)に於て恂恂如(じゅんじゅんじょ)たり。言うこと能(あた)わざる者に似たり。
├09 席正しからざれば、坐せず。
├10 郷人(きょうじん)の飲酒には、杖者(じょうじゃ)出ずれば、斯こに出ず。
├13 厩(うまや)焚(や)けたり、子、朝(ちょう)より退きて曰わく、人を傷(そこな)えりや。馬を問わず。 →厩火事(落語)
├17 君、命じて召せば、駕(が)を俟(ま)たずして行く。
├18 大廟に入りて、事ごとに問う。
└23 山梁(さんりょう)の雌雉(しち)、時なるかな、時なるかな。

11 先進(せんしん) 第十一 凡26章
├01 先進の礼楽に於けるや、野人なり。後進の礼楽に於けるや、君子なり。
├03 孔門十哲 - 徳行には顔淵、閔子騫、冉伯牛、仲弓、言語には宰我、子貢、政事には冉有、季路、文学には子游、子夏。
├05 閔子騫を評す - 孝なるかな、閔子騫(びんしけん)。人、其の父母昆弟(こんてい)を間(かん)するの言あらず。
├09 顔淵(顔回)死す - 噫(ああ)、天、予(われ)を喪(ほろ)ぼせり、天、予を喪ぼせり。
├10 顔淵死す - 子これを哭して慟(どう)す。 夫(か)の人の為めに慟するに非らずして、誰が為にかせん。
├11 顔淵死す - 回や、予(わ)れを視ること猶(な)お父のごとし。予れは視ること猶お子のごとくすることを得ず。
├12 子路、鬼神を問う - 未だ人に事(つか)うること能わず、焉(いずく)んぞ能く鬼(き)に事えん。 未だ生を知らず、焉んぞ死を知らん。
├15 子路の瑟(しつ) - 由や堂に升(のぼ)れり。未だ室に入らざるなり。 →堂に入る
├16 子張と子夏 - 過ぎたるは猶お及ばざるがごとし。
├17 冉求を謗って曰く - 吾が徒に非らざるなり。小子、鼓を鳴らしてこれを攻めて可なり。
├19 顔回と子貢 - 回や其れ庶(ちか)きか、屡(しばしば)空(むな)し。賜(し)は命を受けずして貨殖す。億(おもんばか)れば則ち屡中(あた)る。
├20 子張、善人の道を問う - 迹(あと)を践(ふ)まず、亦た室に入らず。
├22 冉求と子路 - 求や退く、故にこれを進む。由や人を兼ぬ、故にこれを退く。
├23 顔回と匡の危難 - 子在(いま)すに、回何ぞ敢えて死せん。
├25 子路、曰わく - 民人あり、社稷(しゃしょく)あり、何ぞ必ずしも書を読みて然る後に学と為さん。
├26 吾(われ)一日(いちじつ)爾(なんじ)より長ずるを以て、吾を以てすること毋(なか)れ。 →一日の長
└─ 曾皙の志 - 吾れは点に与(くみ)せん。

12 顔淵(がんえん) 第十二 凡24章
├01 顔回、仁を問う - 己れを克(せ)めて礼に復(かえ)るを仁と為す。一日己れを克めて礼に復れば、天下仁に帰す。 →克己復礼
├─ 仁を為すは己れに由(よ)る。而(しか)して人に由らんや。
├─ 礼に非ざれば視ること勿(な)かれ、礼に非ざれば聴くこと勿れ、礼に非ざれば言うこと勿れ、礼に非ざれば動くこと勿れ。
├04 司馬牛、君子を問う - 内に省(かえり)みて疚(やま)しからずんば、夫(そ)れ何をか憂え何をか懼(おそ)れん。
├05 司馬牛憂い、子夏諭す - 君子は敬して失なく、人と恭(うやうや)しくして礼あらば、四海の内は皆な兄弟たり。 →四海兄弟
├07 子貢、政を問う - 食を去らん。古(いにしえ)より皆な死あり、民は信なくんば立たず。 →無信不立
├08 子貢、棘子成を評す - 駟も舌に及ばず。文は猶お質のごときなり、質は猶お文のごときなり。
├10 子張、徳を問う - これを愛しては其の生を欲し、これを悪(にく)みては其の死を欲す。
├11 斉景公、政を問う - 君 君たり、臣 臣たり、父 父たり、子 子たり。
├14 子張、政を問う - これに居りては倦(う)むこと無く、これを行うには忠を以てす。
├15 博(ひろ)く文を学びて、これを約するに礼を以てせば、亦た以て畔(そむ)かざるべき。
├16 君子は人の美を成す。人の悪を成さず。小人は是れに反す。
├17 季康子、政を問う - 政とは正なり。子帥(ひき)いて正しければ、孰(たれ)か敢えて正しからざらん。
├18 季康子、盗を憂う - 苟(いやし)くも子の不欲ならば、これを賞すと雖(いえ)ども竊(ぬす)まざらん。
├19 季康子、政を問う - 君子の徳は風なり、小人の徳は草なり。草、これに風を上(くわ)うれば、必らず偃(ふ)す。
├20 子張、達を問う - 達なる者は、質直にして義を好み、言を察して色を観、慮(はか)って以て人に下る。
├21 樊遅、徳を問う - 事を先にして得ることを後にするは、徳を崇くするに非ずや。
├─ 其の悪を攻めて人の悪を攻むること無きは、慝(とく)を脩むるに非ずや。
├22 樊遅、仁を問う - 直(なお)きを挙げて諸(こ)れを枉(まが)れるに錯(お)けば、能く枉れる者をして直からしめん。
├23 子貢、友を問う - 忠告して善を以てこれを道びく。不可なれば則ち止(や)む。自ら辱(はずかし)めらるること無かれ。
└24 曾子曰わく - 君子は文を以て友を会し、友を以て仁を輔(たす)く。

13 子路(しろ) 第十三 凡30章
├01 子路、政を問う - これに先んじ、これを労す。益を請う。 倦(う)むこと無かれ。
├02 仲弓、政を問う - 有司を先にし、小過(しょうか)を赦(ゆる)し、賢才を挙げよ。
├03 子路を諭す - 君子は其の知らざる所に於ては、蓋闕如(かつけつじょ)たり。
├─ 名正しからざれば則ち言順わず、言順わざれば則ち事成らず。正名論
├─ 君子はこれに名づくれば必ず言うべきなり。これを言えば必ず行うべきなり。君子、其の言に於て、苟(いやし)くもする所なきのみ。
├04 樊遅、稼を問う - 四方の民、其の子を襁負(きょうふ)して至らん。
├06 其の身正しければ、令せざれども行わる。其の身正しからざれば、令すと雖(いえど)も従わず。
├08 衛の公子荊を評す - 苟(いささ)か合う。 苟か完(まった)し。 苟か美(よ)し。
├10 苟(いやしく)も我れを用うる者あらば、期月(きげつ)のみにして可ならん。三年にして成すこと有らん。
├11 善人、邦(くに)を為(おさ)むること百年、亦た以て残に勝ちて殺を去るべしと。誠なるかな、是の言や。
├12 如(も)し王者あらば、必ず世にして後に仁ならん。
├13 苟(いやしく)も其の身を正せば、政に従うに於てか何か有らん。其の身を正しくすること能わざれば、人を正しくすることを如何せん。
├15 定公、盛国を問う - 君たること難(かた)し、臣たること易(やす)からず
├─ 予(わ)れは君たることを楽しむこと無し。唯だ其の言にして予れに違うこと莫(な)きを楽しむなり
├16 葉公、政を問う - 近き者説(よろこ)び、遠き者来たる。
├17 子夏、政を問う - 速やかならんと欲すれば則ち達せず。小利を見れば則ち大事成らず。
├21 中行(ちゅうこう)を得てこれに与(くみ)せずんば、必ずや狂狷(きょうけん)か。狂者は進みて取り、狷者は為さざる所あり。
├23 君子は和して同ぜず。小人は同じて和せず。 →和而不同
├25 君子は事(つか)え易(やす)くして説(よろこ)ばし難(がた)し。 小人は事え難くして説ばし易し。
├26 君子は泰(ゆたか)にして驕らず、小人は驕りて泰ならず。
├27 剛毅朴訥、仁に近し。剛毅木訥
└30 教えざる民を以て戦う、是れこれを棄(す)つと謂う。

14 憲問(けんもん) 第十四 凡46章
├01 原憲、恥を問う - 邦(くに)に道あれば穀(こく)す。邦に道なきに穀するは、恥なり。
├03 士にして居を懐(おも)うは、以て士と為すに足らず。
├04 邦(くに)に道有れば、言を危(はげ)しくし行を危しくす。邦に道無ければ、行を危しくして言は孫(したが)う。
├05 徳有る者は必ず言あり。言有る者は必ずしも徳あらず。仁者は必ず勇あり。勇者必ずしも仁あらず。
├07 君子にして不仁なる者あらんか。未だ小人にして仁なる者あらざるなり。
├11 貧しくして怨(うら)むこと無きは難(かた)く、富みて驕(おご)ること無きは易(やす)し。
├13 子路、成人を問う - 利を見ては義を思い、危うきを見ては命(いのち)を授く、久要(きゅうよう)、平生の言を忘れざる
├16 二覇を評す - 晋の文公は、譎(いつわ)りて正しからず。斉の桓公は、正しくして譎らず。
├17 管仲を評す - 斉桓公、諸侯を九合して、兵車を以てせざるは、管仲の力なり。其の仁に如(し)かんや、其の仁に如かんや。
├18 管仲を評す - 管仲、桓公を相けて諸侯に覇(は)たり、天下を一匡(いっきょう)す。民、今に到(いた)るまで其の賜(し)を受く。
├─ 豈(あ)に匹夫匹婦の諒(まこと)を為し、自ら溝涜(こうとく)に経(くび)れて知らるること莫(な)きが若(ごと)くならんや。
├21 其の言に怍(は)じざれば、則ちこれを為すこと難し。
├24 子路、君に事(つか)えんことを問う - 欺(あざむ)くこと勿(な)かれ。而してこれを犯せ。
├25 古(いにしえ)の学者は己の為にし、今の学者は人の為にす。
├26 蘧伯玉(きょはくぎょく)の使い - 夫子は其の過ち寡(すく)なからんことを欲して、未だ能(あた)わざるなり。 使いなるかな、使いなるかな
├27 其の位に在らざれば、其の政を謀(はか)らず。 →泰伯08-14
├28 曾子曰わく - 君子は思うこと其の位を出でず。 →位卑しくして、言高きは罪なり(『孟子』万章)
├29 君子は其の言の、其の行に過ぐるを恥ず。
├30 仁者は憂えず、知者は惑わず、勇者は懼(おそ)れず。
├31 子貢、人を方(たくら)ぶ - 賜(し)や、賢なるかな。夫(そ)れ我れは則ち暇(いとま)あらず。
├32 人の己を知らざることを患(うれ)えず、己れの能(のう)なきを患う。 →学而01-16・里仁04-14・衛霊公15-19
├33 詐(いつわ)りを逆(むか)えず、信ぜられざるを億(おもんばか)らず、抑(そもそも)亦た先ず覚る者は、是れ賢か。 →先覚者
├35 驥(き)は其の力を称せず、其の徳を称す。
├36 直きを以て怨みに報い、徳を以て徳に報ゆ。 対:怨みに報ゆるに徳を以てす(『老子』63章)
├37 天を怨みず、人を尤(とが)めず、下学(かがく)して上達す。我れを知る者は其れ天か。下学上達
├39 賢者は世を避く。其の次は地を避く。其の次は色を避く。其の次は言を避く。
├40 子路、石門に宿る - 是れ其の不可なることを知りて、而(しか)もこれを為す者か。
├43 上、礼を好めば、則ち民使い易し。
├44 子路、君子を問う - 子の曰わく、己のれを脩めて以て敬す。 己のれを脩めて以て人を安んず。 己のれを脩めて以て百姓を安すんず。
├45 原壌、夷して俟つ - 幼にして孫弟ならず、長じて述ぶること無く、老いて死せず。是れを賊と為す。杖を以て其の脛(はぎ)を叩(う)つ。
└46 闕党(けっとう)の童子、命を将(おこ)なう - 益を求むる者に非ざるなり。速みやかに成らんと欲する者なり。

15 衛霊公(えいれいこう) 第十五 凡42章
├01 衛の霊公、陳(じん)を問う - 軍旅(ぐんりょ)の事は未だこれを学ばざるなり。
├02 陳(ちん)に在(いま)して糧を絶つ。従者病みて能く興(た)つこと莫(な)し。
├─ 子路、慍(いか)って見えて曰わく、君子も亦た窮(きゅう)すること有るか - 君子固(もと)より窮す。小人窮すれば斯(ここ)に濫(みだ)る。
├05 無為(むい)にして治まる者は其れ舜なるか。夫(そ)れ何をか為さんや。己れを恭(うやうや)しくして正しく南面するのみ。
├06 子張、行(おこない)を問う - 言 忠信、行 篤敬(とくけい)なれば、蛮貊(ばんぱく)の邦(くに)と雖(いえ)ども行なわれん。
├07 直なるかな史魚(史鰌)。邦に道有るにも矢の如く、邦に道無きも矢の如し。
├─ 君子なるかな蘧伯玉(きょはくぎょく)。邦に道有れば則ち仕え、邦に道無ければ則ち巻きてこれを懐(ふところ)にすべし。
├08 知者は人を失わず、亦た言を失わず。
├09 志士仁人は、生を求めて以て仁を害すること無し。身を殺して以て仁を成すこと有り。
├10 子貢、仁を為さんことを問う - 工(こう)、其の事を善くせんと欲すれば、必ず先ず其の器(き)を利(と)くす。
├12 人にして遠き慮(おもんばか)り無ければ、必ず近き憂い有り。遠慮近憂
├13 已(や)んぬるかな。吾れ未だ徳を好むこと色を好むが如くする者を見ざるなり。
├15 躬(み)自ら厚くして、薄く人を責むれば、則ち怨みに遠ざかる。
├16 如之何(いかん)、如之何と曰わざる者は、吾れ如之何ともすること末(な)きのみ。
├17 群居して終日、言 義に及ばず、好んで小慧(しょうけい)を行う。難いかな。
├18 君子、義以て質と為し、礼以てこれを行い、孫以てこれを出だし、信以てこれを成す。君子なるかな。
├19 君子は能(のう)なきことを病(うれ)う。人の己れを知らざることを病えず。 →学而01-16・里仁04-14・憲問14-32
├20 君子は世(よ)を沒(お)えて名の称せられざることを疾(にく)む。
├21 君子は諸(こ)れを己のれに求む。小人は諸れを人に求む。
├22 君子は矜(きょう)にして争わず、群して党せず。
├23 君子は言を以て人を挙(あ)げず、人を以て言を廃せず。
├24 子貢問う、一言にして以て終身これを行うべき者ありや - 其れ恕(じょ)か。己のれの欲せざる所、人に施すことな勿(な)かれ。
├27 巧言は徳を乱る。小、忍びざれば、則ち大謀を乱る。
├28 衆これを悪(にく)むも必ず察し、衆これを好むも必ず察す。
├29 人、能く道を弘(ひろ)む。道、人を弘むに非らず。
├30 過(あやま)ちて改めざる、是れを過ちと謂う。
├31 吾れ嘗(かつ)て終日食らわず、終夜寝(い)ねず、以て思う。益なし。学ぶに如(し)かざるなり。
├32 君子は道を謀りて食を謀らず。耕して餒(う)え其の中(うち)に在り、学べば禄は其の中(うち)に在り。君子は道を憂えて貧しきを憂えず。
├34 君子は小知すべからずして、大受すべし。小人は大受すべからずして、小知すべし。
├35 民の仁に於けるや、水火よりも甚だし。水火は吾れ蹈(ふ)みて死する者を見る。未だ仁を蹈みて死する者を見ざるなり。
├36 仁に当たりては、師にも譲らず。
├37 君子は貞にして諒ならず。
├38 君に事(つか)えては、其の事を敬して其の食を後(あと)にす。
├39 教えありて類(るい)なし。 →陽貨17-02
├40 道同じからざれば、相い為めに謀(はか)らず。
├41 辞は達するのみ。
└42 師を相(たす)くるの道なり。

16 季氏(きし) 第十六 凡14章
├01 季氏、将に顓臾(せんゆ)を伐たんとす - 力を陳(の)べて列に就き、能わざれば止(や)む。
├─ 国を有(たも)ち家を有つ者は寡(すく)なきを患(うれ)えずして均(ひと)しからざるを患え、貧しきを患えずして安からざるを患う。
├02 天下道有れば、則ち政は大夫に在らず。天下道あれば、則ち庶人は議せず。
├04 益者三友 - 直きを友とし、諒(まこと)を友とし、多聞を友とするは、益なり。
├─ 損者三友 - 便辟(べんへき)を友とし、善柔を友とし、便佞(べんねい)を友とするは損なり。
├05 益者三楽 - 礼楽を節せんことを楽しみ、人の善を道(い)うことを楽しみ、賢友多きを楽しむは、益なり。
├─ 損者三楽 - 驕楽(きょうらく)を楽しみ、佚遊(いつゆう)を楽しみ、宴楽(えんらく)を楽しむは、損なり。
├06 君子に侍するに三愆(さんけん)あり。 躁(そう)、隠、瞽(こ)
├07 君子に三戒あり。 少(わか)き時は色に在り 壮なるに及んでは闘(とう)に在り 老いたるに及んでは得に在り。
├08 君子に三畏(さんい)あり。天命を畏れ、大人を畏れ、聖人の言を畏る。
├─ 小人は天命を知らずして畏れず、大人に狎(おそ)れ、聖人の言を侮る。
├09 困(くるし)みて学ばざる、民斯れを下(しも)と為す。
├10 君子に九思あり。 視には明、聴には聡、色には温、貌には恭、言には忠、事には敬、疑には問、忿には難、得には義
├11 善を見ては及ばざるが如くし、不善を見ては湯を探る如くす。
├12 伯夷・叔斉、首陽の下(もと)に餓う。民今に到るまでこれを称す。 誠に富みを以てせず、亦た祗(ただ)に異を以てす。
├13 陳亢(ちんこう)、伯魚(孔鯉)に問う - 一を問いて三を得たり。詩を聞き、礼を聞き、又た君子の其の子を遠ざくるを聞く。
└14 邦君(ほうくん)の妻、君これを称して夫人と曰う。夫人自ら称して小童と曰う。

17 陽貨(ようか) 第十七 凡26章
├01 陽貨(陽虎)、見んと欲す - 其の宝を懐(いだ)きて其の邦(くに)を迷わす、仁と謂うべきか。
├─ 事に従うを好みて亟々(しばしば)時を失う、知と謂うべきか。 日月逝(ゆ)く、歳(とし)我れと与(とも)ならず。
├02 性、相(あ)い近し。習えば、相い遠し。 →衛霊公15-39 類:人の賢不肖は、たとえれば鼠のごとし
├03 唯だ上知(じょうち)と下愚(げぐ)とは移らず。
├04 鷄を割くに焉(いずく)んぞ牛刀を用いん - 子游対たえて曰わく、君子道を学べば則ち人を愛し、小人道を学べば則ち使い易すし。 →牛刀割鶏
├05 公山不擾(こうざんふじょう)、招く - 如(も)し我を用うる者あらば、吾れは其れ東周を為さんか。
├06 子張、仁を問う - 能く五つの者を天下に行なうを仁と為す。 恭寛信敏惠なり。
├─ 恭なれば則ち侮られず、寛なれば則ち衆を得、信なれば則ち人任じ、敏なれば則ち功あり、恵なれば則ち以て人を使うに足る。
├08 六言(りくげん)の六蔽(りくへい)
├─ 仁を好みて学を好まざれば、其の蔽や愚。知を好みて学を好まざれば、其の蔽や蕩(とう)。信を好みて学を好まざれば、其の蔽や賊。
├─ 直を好みて学を好まざれば、其の蔽や絞(こう)。勇を好みて学を好まざれば、其の蔽や乱。剛を好みて学を好まざれば、其の蔽や狂。
├09 小子、何ぞ夫(か)の詩(詩経)を学ぶこと莫(な)きや。詩は以て興こすべく、以て観るべく、以て群すべく、以て怨むべし。
├12 色厲(はげ)しくして内荏(やわらか)なるは、諸(これ)を小人に譬(たと)うれば、それ猶(な)お穿愉(せんゆ)の盗のごときか。
├13 郷原(きょうげん)は徳の賊なり。
├14 道に聴きて塗(みち)に説くは、徳をこれ棄(す)つるなり。道聴塗説
├15 鄙夫(ひふ)は与(とも)に君に事(つか)うべけんや。
├17 巧言令色、鮮(すく)なし仁。 →巧言令色 →学而01-03
├18 紫の朱を奪うを悪(にく)む。
├19 天、何をか言うや。四時行なわれ、百物生ず。天、何をか言うや。
├21 宰我(さいが)喪を問う - 子(こ)生まれて三年、然る後に父母の懐(ふところ)を免(まぬが)る。夫れ三年の喪は天下の通喪(つうそう)なり。
├22 飽くまで食らいて日を終え、心を用うる所無し、難いかな。博奕(はくえき)なる者あらずや。これを為すは猶(な)お已(や)むに賢(まさ)れり。
├23 君子 勇有りて義なければ乱を為す。小人 勇有りて義なければ盗を為す。
├25 唯(た)だ女子と小人とは養い難しと為す。これを近づくれば則ち不孫(ふそん)なり。これを遠ざくれば則ち怨む。
└26 年四十にして悪(にく)まるるは、其れ終わらんのみ。

18 微子(びし) 第十八 凡11章
├01 殷に三仁あり - 微子(びし)はこれを去り、箕子(きし)はこれが奴(ど)と為り、比干(ひかん)は諌めて死す。
├02 柳下恵(りゅうかけい)、三たび黜(しりぞ)けらる - 道を直くして人に事(つか)うれば、焉(いず)くに往くとして三たび黜けられざらん。
├05 狂接輿 - 鳳よ鳳よ、何ぞ徳の衰えたる。往く者は諌むべからず、来たる者は猶お追うべし。已みなん已みなん。今の政に従う者は殆うし。
├06 長沮(ちょうそ)、桀溺(けつでき)耦(ぐう)して耕す - 滔滔(とうとう)たる者、天下皆な是れなり。而して誰と以(とも)にかこれを易(か)えん。
├─ 鳥獣は与(とも)に群を同じくすべからず。吾れ斯の人の徒と与にするに非ずして誰と与にかせん。
├10 周公、魯公に曰わく - 君子は其の親(しん)を施(す)てず、大臣をして以(もち)いざるに怨みしめず、故旧、大故なければ、則ち棄てず。
└11 周に八士あり、伯達、伯适、仲突、仲忽、叔夜、叔夏、季随、季騧。

19 子張(しちょう) 第十九 凡25章
├01 子張曰わく - 士は危うきを見ては命(いのち)を致たし、得るを見ては義を思い、祭には敬を思い、喪には哀を思う。
├02 子張曰わく - 徳を執(と)ること弘からず、道を信ずること篤(あつ)からずんば、焉(いずく)んぞ能く有りと為さん、焉んぞ能く亡(な)しと為さん
├03 子張曰わく - 君子、賢を尊びて衆を容れ、善を嘉(よみ)して不能を矜(あわれ)む、我れの大賢ならんか、人に於いて何の容れざる所あらん。
├05 日(ひび)に其の亡(な)き所を知り、月(つきづき)に其の能(よ)くする所を忘るること無し。学を好むと謂うべきのみ
├06 子夏曰わく - 博(ひろ)く学びて篤(あつ)く志し、切(せつ)に問いて近く思う、仁、其の中(うち)に在り。
├07 子夏曰わく - 百工、肆(し)に居て以て其の事を成す。君子、学びて以て其の道を致す。
├08 子夏曰わく - 小人の過(あやま)つや、必ず文(かざ)る。
├09 子夏曰わく - 君子に三変あり。これを望めば儼然(げんぜん)たり、これに即(つ)けば温なり、其の言を聴けば厲(はげ)し。
├10 子夏曰わく - 君子、信ぜられて而して後に其の民を労す。 信ぜられて而して後に諌(いさ)む。
├11 子夏曰わく - 大徳は閑(のり)を踰(こ)えず。小徳は出入して可なり。
├13 子夏曰わく - 仕えて優なれば則ち学ぶ。学びて優なれば則ち仕う。
├14 子游曰わく - 喪は哀を致して止む。
├17 曾子曰わく - 人未だ自ら致す者有らず。必ずや親の喪か。
├20 子貢曰わく - 君子は下流に居ることを悪(にく)む。
├21 子貢曰わく - 君子の過(あやま)ちや、日月の蝕するが如し。過つや人皆これを見る、更(あらた)むるや人皆なこれを仰ぐ。
├22 公孫朝、子貢に問う - 夫子焉にか学ばざらん。而して亦た何の常師かこれ有らん。
├23 子貢は仲尼より賢(まさ)れり - 夫子の牆(しょう)や数仭(すうじん)、其の門を得て入らざれば、宗廟の美、百官の富みを見ず。
├24 叔孫武叔、仲尼を毀(そし)る - 他人の賢者は丘陵なり、猶(な)お踰(こ)ゆべきなり。仲尼は日月なり、得て踰ゆること無し。
├25 陳子禽、子貢に曰わく、豈に子より賢(まさ)らんや - 君子は一言以て知と為し、一言以て不知と為す。言は慎しまざるべからざるなり。
└─ 夫子の及ぶべからざるや、猶(な)お天の階して升(のぼ)るべからざるがごときなり。

20 堯曰(ぎょうえつ) 第二十 凡5章
├01 尭、舜に曰わく - 朕(わ)が躬(み)罪あらば、万方を以てすること無けん。万方罪あらば、罪は朕が躬に在らん。
├03 寛なれば則ち衆を得、信なれば則ち民任じ、敏なれば則ち功あり、公なれば則ち説(よろこ)ぶ。
├04 五美と四悪
├─ 恵して費(つい)えず、労して怨みず、欲して貪(むさぼ)らず、泰(ゆたか)にして驕(おご)らず、威にして猛(たけ)からず。
├─ 教えずして殺す、これを虐(ぎゃく)、戒めずして成るを視る、これを暴、令を慢(ゆる)くして期を致す、これを賊、
├─ 猶(ひと)しく人に与うるに出内(すいとう)の吝(やぶさ)かなる、これを有司と謂う。
└05 命を知らざれば、以て君子たること無きなり。礼を知らざれば、以て立つこと無きなり。言を知らざれば、以て人を知ること無きなり。


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■論語(ろんご) 10巻20篇
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01 学而(がくじ) 第一
02 為政(いせい) 第二
03 八佾(はちいつ) 第三
04 里仁(りじん) 第四
05 公冶長(こうやちょう) 第五
06 雍也(ようや) 第六
07 述而(じゅつじ) 第七
08 泰伯(たいはく) 第八
09 子罕(しかん) 第九
10 郷党(きょうとう) 第十
11 先進(せんしん) 第十一
12 顔淵(がんえん) 第十二
13 子路(しろ) 第十三
14 憲問(けんもん) 第十四
15 衛霊公(えいれいこう) 第十五
16 季氏(きし) 第十六
17 陽貨(ようか) 第十七
18 微子(びし) 第十八
19 子張(しちょう) 第十九
20 堯曰(ぎょうえつ) 第二十
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 ■孔門七十子 - 孔子弟子一覧
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「孔子は詩・書・礼・楽を教えたが、弟子はおよそ三千人に及んだと考えられ、そのうち六芸に通じた者が七十二人あった」(『史記』孔子世家)
「孔子が述懐して言った。私の門人で六芸に通暁する者は、七十七人いるが、みな、すぐれた才能の士である」(『史記』仲尼弟子列伝)

[孔門七十子(しちじっし)] - 『史記』(仲尼弟子列伝 77人)や『孔子家語』(七十二弟子解 72人)に記載された七十有余人の弟子 …
[孔門十哲(じってつ)] - 『論語』(先進11-03)に挙げられた十人の高弟 …

[徳行] - 高い徳と立派な行い
01 顔回、字は子淵 - 魯の人 30歳年少 路地裏のあばら家に住み、箪食瓢飲して道を修めたという。孔子に後継者として嘱望されるも早世した。
02 閔損、字は子騫 - 魯の人 15歳年少 孝行者として知られる。暴君奸臣に仕えるのを善しとせず、清廉を貫いた。
03 冉耕、字は伯牛 - 魯の人 徳行の士として知られたが、病に倒れる。孔子が見舞って、その運命を嘆いたという。(雍也06-10)
04 冉雍、字は仲弓 - 魯の人 孔子に「南面せしむべし」と称えられた賢士(雍也06-01)。卑賤階級の出身であり、身分が低かった。
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[言語] - 社会的、政治的な思想と言論
05 宰予、字は子我 - 魯の人 実利を重視し、徳を軽視して訓戒される。後に斉の臨淄の長官となるも、田常の乱に加担し、一族皆殺しとされた。
06 端木賜、字は子貢 - 衛の人 31歳年少 弁舌に優れる。斉の魯侵攻を防ぎ呉の滅亡にも関与。魯・衛の宰相を歴任し、孔門の財政を援助した。
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[政事] - 具体的な政治活動
07 冉求、字は子有 - 魯の人 29歳年少 消極的な性格であったが、孔子は「千戸の邑の長官や、百乗の家の大夫にも仕えさせられる」と評した。
08 仲由、字は子路または季路 - 魯の人 9歳年少 武勇を好み軽率であったが実直で慕われた。衛で仕官するも、蒯聵・孔悝の乱に遭い死す。
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[文学] - 学問と教養
09 言偃、字は子游 - 呉の人 45歳年少 孔子にその学識を称される。魯の武城の長官を勤め、礼楽を以て民を教化したという。
10 卜商、字は子夏 - 衛(または晋)の人 44歳年少 魏に招かれ名君・文侯の学師となる。門下に田子方、李克、西門豹、呉起、禽滑釐らがいた。
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11 顓孫師、字は子張 - 陳の人 48歳年少 才知と容姿に優れていたが実利を重視した。「過ぎたるは猶お及ばざるがごとし」の「過」(先進11-16)
12 曾参、字は子輿 - 曾子 魯の人 46歳年少 特に孝行の道に秀でており、その門人が『孝経』や『大学』を著したという。生涯魯で教育にあたる。
13 澹台滅明、字は子羽 - 魯の人 39歳年少 容貌は醜かったが、品行方正で義を説き、弟子百人、その名は諸侯の間にも聞こえたという。
14 宓不斉、字は子賤 - 30歳年少 単父の長官となり、孔子に仕事ぶりを「狭い土地を治めさせておくのは惜しい」と評された。
15 原憲、字は子思 - 沼地で隠遁生活を送り生涯貧しかった。子貢に答えた「貧なり、病(つか)るるに非ざるなり」(『荘子』譲王篇)の話で知られる。
16 公冶長、字は子長 - 斉の人 かつて冤罪で囚人となった。孔子の娘を娶る。
17 南宮括、字は子容 - 魯の人 よく学問を修めて喜ばれ、孔子の兄の娘を娶った。
18 公皙哀、字は季次 - 未だに仕官せず、よく道を学んでいると評された。
19 曾蒧、字は皙 - 曾点 魯の人 曾参の父。 その志を、孔子に「吾れは蒧に与(くみ)せん」と喜ばれた(先進11-26)。
20 顔無繇、字は路 - 魯の人 顔回の父。 顔回に先立たれた。
21 商瞿、字は子木 - 29歳年少 孔子に「易」を伝授され、[馬干]臂子弘(子弓)に伝えた。 この子弓が荀子の師であるという説もある。
22 高柴、字は子羔(子皐) - 30歳年少 身の丈5尺に満たなかった。愚直な人物であり、子路の推挙で衛に仕えた。孔悝の乱に遭うも難を逃れる。
23 漆彫開(啓)、字は子開 - 孔子に仕官を勧められるも、「自分にはまだその資格がない」として断り、喜ばれた。
24 公伯繚、字は子周 - 子路を季孫氏に讒訴したという。
25 司馬耕、字は子牛 - 孔子を襲撃した宋の司馬桓魋の弟。 口数が多く、さわがしい性質であったという。
26 樊須、字は子遅 - 斉の人 36歳年少 農耕を学びたいといって、孔子に「樊遅は小人だな(もっと先にするべきことがあるのに)」と評される。
27 有若、字は子有* - 有子 魯の人 43歳年少 孔子に容貌が似ていたために死後、後継者となり、彼を推した弟子達に師と仰がれたという。
28 公西赤、字は子華 - 魯の人 42歳年少 「束帯して朝(廷)に立ち、賓客と言わしむべし」(公冶長)と評された貴人。斉に使いした。(雍也)
29 巫馬施、字は子旗 - 30歳年少 陳の司敗に孔子の過ちを指摘されたという。
30 梁鱣、字は叔魚 - 29歳年少
31 顔幸、字は子柳 - 46歳年少
32 冉孺、字は子魯 - 50歳年少
33 曹卹、字は子循 - 50歳年少
34 伯虔、字は子析 - 50歳年少
35 公孫龍、字は子石 - 53歳年少 ※名家とは別人
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※司馬遷によれば、以上の35人については名と年齢が明瞭であり、文献にも問答が見えるという。
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36 冉季、字は子産
37 公祖句茲、字は子之
38 秦祖、字は子南
39 漆雕哆、字は子斂
40 顔高、字は子驕
41 漆雕徒父、字は子文*
42 壌駟赤、字は子徒
43 商沢、字は子秀*
44 石作蜀、字は子明
45 任不斉、字は選
46 公良孺、字は子正
47 后処、字は子裏
48 秦冉、字は開
49 公夏首、字は乗
50 奚容箴、字は子皙
51 公肩定、字は子中
52 顔祖、字は襄
53 鄡単、字は子家
54 句井疆、字は子疆*
55 罕父黒、字は子索
56 秦商、字は子丕
57 申党、字は周
58 顔之仆、字は叔
59 栄旂、字は子祈
60 県成、字は子祺
61 左人郢、字は行
62 燕伋、字は思
63 鄭国、字は子徒
64 秦非、字は子之
65 施之常、字は子恒
66 顔噲、字は子声
67 歩叔乗、字は子車
68 原亢籍、字は籍*
69 楽欬、字は子声
70 廉絜、字は庸
71 叔仲会、字は子期
72 顔何、字は冉
73 狄黒、字は皙
74 邦巽、字は子斂
75 孔忠、字は子蔑* - 孔子の兄である孔孟皮の子
76 公西輿如、字は子上
77 公西箴、字は子上
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※字(あざな)、*印のものは列伝内に記載なし

[司馬遷の論賛] - 『史記』仲尼弟子列伝 第七より
太史公曰わく、世の学者は、しばしば七十子の徒を云々する。褒める者は実質以上に褒め、そしる者は実質以下にけなすが、
みな、その容貌さえ見ないで論評しているのである。弟子の名簿は、孔氏の壁中から出た古文の記録に根拠するもので正確に近い。
わたしは、弟子の姓名や文辞をすべて論語の孔子と弟子の問答から取り、順序だてて、この一篇を作った。疑わしいものは省いて記載しなかった。

[司馬遷の立伝趣意] - 『史記』太史公自序 第七十より
孔子は文を以て道を述べ、弟子は業にはげみ、それぞれ諸侯の師傅となって、仁を尊重し義を奨励した。よって仲尼弟子列伝を作る。

[孔子歿後の弟子たち] - 『史記』儒林列伝 第六十一より
孔子の歿後、七十子の門弟たちは、各地に散らばって諸侯に仕え、大は諸侯の師傅(しふ)・大臣・宰相となり、
小は士・大夫の師友となり、あるいは隠遁して世にあらわれなかった。
子路が衛におり、子張が陳におり、澹台子羽が楚におり、子夏が西河におり、子貢が斉で生涯を終えたなどその例である。
また田子方・段干木・呉起・禽滑釐などは、いずれも学業を子夏の一派に受け、王者の師となった。
当時、諸侯としてはひとり魏の文侯が学問を好んだだけで、その他の天下の諸侯は戦国の世に並び争い、
儒術はまったくしりぞけられていた。
ただ斉・魯の地方は、儒術を学ぶものが絶えず、斉の威王・宣王のころには孟子・荀卿らが出て、
みな夫子(孔子)の偉業をつぎ、これを潤色し、学問をもって一世に名を挙げた。

[付:孔子の家族]
父:孔紇、字は叔梁(こうこつ しゅくりょう 叔梁紇)
母:顔徴在(がん・ちょうざい)
異母兄弟:孔孟皮(こう・もうひ)、姉九人 ※孔紇の先妻:施曜英(し・ようえい)の子
妻:幵官(けんかん)氏
子:孔鯉、字は伯魚(こうり はくぎょ)・娘(公冶長に嫁ぐ)
孫:孔伋、字は子思(こうきゅう しし 孔鯉の子) →『中庸』

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 ■参考書籍
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  孟子曰く「古人の糟粕? 私なら古人の著書を読み尚友とするけどねw」
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 『論語』 孔丘弟子/金谷治/岩波文庫 …> [関連書籍] 
 古代中国の大古典「四書」のひとつで、孔子とその弟子たちの言行を集録したもの。
 人間として守るべきまた行うべき、しごく当り前のことが簡潔な言葉で記されている。
 長年にわたって親しまれてきた岩波文庫版『論語』がさらに読みやすくなった改訂新版。
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 『論語』 孔丘(門弟)/加地伸行/講談社学術文庫 …> [関連書籍] 
 孔子とその門人の言行録から成る『論語』は私たちの生き方の原点を見つめた思索の宝庫であり、
 人間性を磨く叡智が凝縮した永遠の古典である。読めば読むほど胸に深く沁み込む簡潔な言葉の数々。
 儒教学の第一人者の意欲的で懇切丁寧な注釈と、今にも語り出すかのような臨場感ある現代語訳。
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 『論語物語』 下村湖人/講談社学術文庫 …> [関連書籍]
 二千年以上も経た『論語』の章句を自由自在に使って、著者の思想を物語に構成したものが本書で、
 精神を後世に伝えたい一念が結晶している。孔子と弟子たちが古い衣をぬぎすて、現代に躍り出す。
 その光景がみずみずしい現代語で丹念に描かれている。教育乱脈の今日の日本にとって必読の書。
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 『孔子伝』 白川静/中公文庫BIBLIO …> [関連書籍]
 春秋の乱世にあって、「仁」による理想の徳治を説き、挫折と漂泊のうちに生きた孔子と弟子たち。
 中国の歴史上屈指の偉大な哲人の残した言行は、『論語』として現在も全世界に生き続ける。
 白川静が、史実と後世の恣意的粉飾を峻別し、その思想に肉薄する、画期的孔子伝である。
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 『大学・中庸』 金谷治/岩波文庫 …> [関連書籍] 
 天下国家の政治もその根本は一身の修養にあることを説く『大学』。人間の本性とは何かを論じ、
 「誠」の哲学を説く『中庸』。朱子によって『論語』『孟子』とともに四書の一つとされた儒教の経典。
 本書では、朱子以前の古い読み方を探求して、両書の本来の意味を明らかにすることを主眼とした。
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 『孝経 全訳注』 曾子門弟/加地伸行/講談社学術文庫 …> [関連書籍] 
 本文十八章と付篇一章から成る『孝経』は、孝道を論じた儒教の経書で、永く読み継がれてきた。
 しかし、単に親への孝行を説く道徳の書ではなく、中国人の死生観・世界観が凝縮された書である。
 『女孝経』『父母恩重経』など周辺資料も多数紹介・解読し、家族を重視する人間観を分析する。
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 『孟子(上・下)』 孟軻/小林勝人/岩波文庫 …> [関連書籍] 
 戦国時代の中国、百家争鳴の世に現われて、孔子の教えを軸にしつつ、独自の思想を展開した
 孟軻の言行録である。彼は、人が天から与えられた本性は善であるという信念に立って、
 この天から万人に等しく与えられた本性を、全面的に開花させるための実践倫理を示した。
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 『荀子(上下)』 荀況/金谷治/岩波文庫 …> [関連書籍] 
 勧学篇に始まり堯問篇に終る荀子の全思想の記録。彼は性悪説を主張し、その説くところによれば、
 人間は放任すれば乱れるからその悪である性を矯正し、世の混乱を防ぐために伝統的な教え、
 即ち「礼」を学ぶことが必要であるという。 広く一般に理解できるよう読み下しと口語訳とを収録。
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 『諸子百家』 浅野裕一/講談社学術文庫 …> [関連書籍]
 春秋戦国を縦横無尽に駆け抜けた才智と戦略、自らの理想を実現すべく諸国を巡った諸子百家。
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 新出土資料で判明した老子、孫子、孔子などの実像や、鄒衍・公孫龍らの思想も興味深く説く。
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 『春秋左氏伝(上・中・下)』 小倉芳彦/岩波文庫 …> [関連書籍] 
 『春秋左氏伝』は『春秋』の「伝」すなわち解説で、春秋時代(前七二二‐四八一)を中心とする
 中国古代の史伝説話の宝庫である。中国では準経書として扱われ、我が国では古来歴史や
 文学の源泉であった。その全文の格調高い現代語訳。本書には地図・系図・索引を完備。
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 豊かな史料から再考察し、著者の祖国への愛と憧憬をこめて綴る中国五千年の歴史シリーズ。
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 『中国古典名言事典』 諸橋轍次/講談社学術文庫 …> [関連書籍]
 厖大な中国の古典のなかから4,800余を精選、簡潔にして分かりやすい解説を付した名言名句集。
 どの章句にも古典の英知・達人の知恵・人間のドラマが宿っており、人生の指針にみちている。
 激動の時代を生きる現代人が座右に置いて、あらゆる機会に再読・三読すべき画期的な辞典である。
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