実録!未払賃金請求訴訟
.サービス残業撲滅!未払い賃金を取り戻せ!- 本人訴訟・裁判の全記録 -
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 原告 第3準備書面+和解案 
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[平成17年04月11日]

平成16年(ワ)第999号
原告 金時 貢
被告 株式会社 丸得システム・プランニング
第3準備書面
帝国地方裁判所民事係 御中
原告 金時 貢 (印)


第1 被告の主張について
 被告はこれまで、
労働基準法をはじめとする法令及び判例の見地による主張・反論を一切行わず、終始独自の解釈に基づいた主張に徹している。
 本社、もしくは所属長の監督下において時間外の拘束があった事実を認め自ら一覧表まで添えていながら、あくまでそれらを正当な賃金支給の対象である労働として認めていない。
 被告によるこれらの主張が、就業規則(甲1号証)及び給与規程(甲2号証)を根拠にしたものですらなく、総務部の一通達である、「社内規程・ルールの徹底」(甲10号証)等、行政官庁に届け出のなされていない、まったく独自の社内規則によるものであることは、これまでに原告が主張したとおりである。
 原告は常に法的見地、もしくは就業規則等、被告との間に締結された労働契約の定めに沿った主張を心掛けてきたが、驚くべきことに、被告の主張には、法令のみならず、被告自身の就業規則や給与規程をも無視する内容が多分に含まれているのである。

 労働契約における就業規則の上位足り得る定めは、公布された諸法令と届け出を受理された労使協定のみであって、社内だけに向けられた通達が、法令や就業規則に優先されることはなく、また、賃金等、労働者のすべてに適用される特別の定めをする場合においては、労働基準法第89条にあるとおり、改変事項について遅滞なく行政官庁への届け出を要するはずであるし、事実、本訴の争点は、賃金の支払いに関するものである。
 同様に労使協定がなければ、同法第32条に定める所定労働時間を超えて労働を行わせる場合にもやはり都度の申請を要するが(第33条)、被告はこれら一切を怠っていた。
 そもそも、この様に法令が就業規則の改変や時間外労働に対して厳格な定めをおくのは、労働契約の締結に際し、労使を対等な立場で扱い、使用者の不正を防ぐためである。

第2 被告の体質について
 つい先日、被告事業所に勤務する元同僚から、退職と有給休暇について相談を受けた。
所属事業所の閉鎖による退職に伴い、就業規則に基づき有給休暇を申請したところ、被告総務部より「未消化である有給休暇の連続した使用は、自己都合退職として取り扱う」という説明を受けたが、彼は事前に会社の募集した希望退職者に応募しており、被告も当然に会社都合の事由による離職を約束していたと聞かされた。
 「有給休暇を使用した場合は、この限りではない」とする被告会社の対応は、明らかに労働基準法 第39条で禁じられた不利益取り扱いにあたり、就業規則の規定にも沿わず、労働者の権利を著しく侵害するもので、断じて許されない。
 原告自身も退職に伴い、未消化であった有給休暇を申請し、被告の承認を受け休暇を取ったのだが、この有給休暇についても正規賃金の全額が支払われていなかったという事実を本訴提起後に知り、後日別途請求するつもりでいた。
 この期に及んで、まったく改まる様子がない被告会社の不正体質は、原告だけでなく、他従業員にとっても、極めて深刻かつ遺憾なものなのである。 (※有給休暇については、こちらの論考も参照ください)

第3 原告和解案
 原告は、被告の主張・姿勢に辟易し、それでも尚、斟酌して譲歩する余地があるものか、未だに思い悩んでいるが、本訴の速やかな解決を願い和解案を提示する。

1 被告は、全従業員に対し、法令及び就業規則に違反した独自の規準を以って、時間外労働を慣例化
  し、故意に賃金の未払いを続けていた事実を認めること。
2 被告は、退職者及びアルバイトを含む全従業員に対して告知し、請求の有無に係わらず、法令の定め
  る基準をもって、未払い賃金のすべてについて支払いを行うこと。
3 被告は、全従業員に対し、法令の遵守及び実践を義務づけ、再発の防止に努めること。
4 被告が、1ないし3項について承認するならば、原告はタイムカード押し忘れのすべてを認め、本請求の
  うち、金10,428円について棄却する。
5 被告は、原告に対し、金3,526,034円 及び法令で定める遅延損害金、並びに訴訟費用を持参または
  送金し、遅滞なく支払うこと。


 以上が現段階で原告が考える和解案である。 第4項について請求を取り下げるのは、原告にも一部過失があったと認めるためである。
 しかしながら、被告が請求を棄却すべきとする他の主張については、そのすべてが被告の不正または勤務形態に起因したものであり、なんら原告の過失は認められず、また、これら正当な請求について、原告が独自の判断で価額を加減すること自体、労働者の権利保護を最大の目的とした労働基準法の尊厳を犯す行為であり、本訴を提起した自身の信条に反するため、減額をこの範囲に留めるものである。

第4 原告の主張
 労働基準法は、労使間の契約において、その遵守を厳格に義務付けられた強行法規である。
 被告のいう、時間外労働への「任意参加」及び「無給取り扱いの労使合意」との主張が、労働基準法第32条に抵触し、無効であることは、同法第13条(この法律違反の契約)「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による」及び第93条(就業規則の効力)就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において無効となった部分は、就業規則で定める基準による」という規定を根拠として先の準備書面で述べたとおりであり、行政官庁への届け出もない身勝手な「労使合意(=労働契約)」が即ち賃金支払い免除の口実には成り得ない。
 ここで重要なのは、本来無効であるはずの「任意参加」及び「無給取り扱いの労使合意」という被告独自の基準と解釈に基づき、全従業員に対して、故意に無給取り扱いの時間外労働を慣例化していたという事実(少なくとも、任意参加であれば、無給取り扱いの時間外労働があったとする事実)を被告自身が認め、再三に渡って繰り返し主張しているということである。
 従業員との間にその様な労使合意があったとする主張自体、前々から自認していたにも係わらず、被告が意図的に不正を行い、平然と労働者の権利を侵害していたことの証拠であり、また、告白であると言える。

 およそ原告は、被告の主張するところの「任意参加」及び「無給取り扱いの労使合意」が、一部でも認められたという事例を知らないし、これら被告の主張がまかり通るとするならば、労働判例として実に画期的なものとなり、すべての企業は被告に習い、就業規則にそれらの規程を定め、従業員に対して合法的に(しかも無制限に)無給取り扱いの時間外労働を強いる様になると考えられる。
 仮にもこういった解釈が許されるのであれば、労働基準法が強行法規であるとは言えず、到底労働者の権利を守ることなどできない。
 被告のこの様な態度は、社会的に強く叫ばれている「サービス残業撲滅」の取り組みに相反する、非常に利己的な犯罪の助長行為であり、決して看過できない。

 あくまでも法令は厳格に遵守すべきものであり、独自の解釈でその基準を暈すことは許されず、だからこそ原告ら国民は、法令及び司直を尊び、敬っているのである。
 どうか裁判長には、この点についてご考慮いただき、明々白々たる事実に対し、公明正大な判断をもって裁決を下して頂く様、改めてお願いしたい。

以上

添付書証 なし


※こんなトコかな。 重要なのは、本来「諸法令>就業規則>独自基準による解釈」の順だってことと、

被告が、法令違反を知りながら意図的に不正を行っていたことを、自ら繰り返し主張しているってことです。


2ヵ月以上も待たされた、「被告 準備書面(3)」へ進む …>


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