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被告 準備書面(3) |
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平成16年(ワ)第999号
原告 金時 貢
被告 株式会社 丸得システム・プランニング
準備書面(3)
帝国地方裁判所民事係 御中
被告代理人弁護士 天佑 神助 (印)
第1 出社前の着替えについて
1 始業前の作業着への着替えや保護具の着用は、業務従事の準備にすぎず、労働時間にあたらないというのが、通説・判例である(菅野和夫著・轄O文堂発行「労働法第四版」二五六貢)。
2 本件においても始業前の制服への着替時間は、労働時間に含まれず、これに対応する請求は、棄却すべきである。
第2 タイムカード上の残業時間における怠業について
1 被告会社における原告の閉店後の仕事内容
(1)被告会社において、原告が閉店後に行っていた仕事の内容は、次のとおりである。
午後7時30分〜午後7時40分
ノボリ(旗)しまい
シャッター下ろし
展示機の電源オフ
午後7時40分〜午後7時45分
レジ精算
午後7時45分〜午後8時
清掃
(2)清掃後、午後8時ころから午後8時10分くらいの間に終礼が行われていた。
通常は、その後、仕事が行われることはなかった。
(3)以上のように、レジ精算以降の業務に要する時間は多く見積もっても30分くらいである。
よって、その所要時間を超える部分については、労働がなされていたのではなく、怠業があったことが強くうかがわれる。
2 最終精算時間(精算は、1階と2階のレジそれぞれで行われるところ、精算が遅いレジの時間を基準とした。)と原告が打刻した退社時間との差から、通常のレジ精算以降の業務処理時間である30分を控除した時間を算出すると、別紙の通りとなる。
かかる所要時間を超える時間は、労働実態がないのであるから、これに対応する請求は、棄却すべきである。
なお、勉強会開催日時については、原告の退社時の打刻時間ではなく勉強会開始時間を基準として、算出した。
また、押し忘れ疑いについても、同様に、前回すでに控除すべき時間として主張しているため、実際の退社時間を基準として算出した。
3 よって、タイムカードに打刻されている時間のうち、合計131時間19分(普通割増賃金対象125時間23分、深夜割増賃金対象5時間56分)、賃金に換算して合計18万8562円相当についての請求は棄却すべきである。
第3 付加金について
1 労働基準法114条規定の付加金は、賃金未払の事実があれば当然に発生するものではない。
裁判所が、同規定の趣旨に照らして諸般の事情を考慮して、支払を命ずるか否か、命ずるとしても、未払金と同額を命ずるのか、その一部金額にとどめるのかを決することができるものである(平成16年6月25日東京地裁判決、平成8年10月2日大阪地裁判決等)。
2 本件において、被告会社はタイムカードによって従業員の労働時間の把握に努めていたわけであるが、タイムカードは、各従業員自らが打刻するものであって、必ずしも、打刻時間が正規の労働時間を反映するものではない。
本件原告の仕事は、店舗販売であるが、工場における労働などとは異なり、労働時間をどのように使用するかについては、各従業員の裁量によるところも少なくない。例えば、開店時間中でも、顧客から受けた注文書の整理、メーカーへの発注、メーカーへの修理依頼、商品の整理、在庫チェックなどの作業は可能である。
レジ精算、清掃は、閉店後に行わざるを得ないが、多くの仕事は、残業せずとも処理できることも多い。
そこで、被告会社としては、各従業員に労働時間の有効活用を促し、不必要な残業を減らすために、各従業員に対し、店長の承認を受けて残業申請する手続きをとらせていたものである。
なお、残業代の申請にかかる手続きが必要なことは、全従業員が了承していたことである。
上記手続きにより、原告から残業代の申請があった場合、被告会社は、その都度、残業代の支払に応じていた。
3 被告会社は、本訴提起前において、原告から未払賃金の請求を受けた際、残業の事実が認められる範囲内の金額については、賃金の支払いに応じる意思があったので、原告に対し、その旨回答した。
また、その際、原告の要望に応じて、タイムカードの写し等を渡している。
しかしながら、原告は、被告会社のかかる回答を不服として、本訴提起に至った。
4 被告会社は、現段階においても、原告に対し、残業の事実が認められる範囲内の金額を、支払う意思がある。
5 以上の諸事情を考慮して、付加金支払請求の当否については、慎重に検討されたい。
第4 証拠方法
1 乙第3号証の1〜24 レジ精算レシート(写し) 各1通
以上
※「任意参加」「無給取り扱いの労使合意」との主張は… あれっ!?
今回はしないんですか?
法令や就業規則より、独自の「労使合意(=労働契約)」を優先させないんですか?
あぁ、朝礼・終礼・勉強会については相変わらず無給取り扱いとお考えの様ですね。
安心しました。
ここに来て、被告の主張が大きく転換したことは、非常に好ましく評価に値します。
事業所において、閉店後に「時間外労働」があったことを認めただけでも物凄い前進な訳ですが、
「原告に対し、残業の事実が認められる範囲内の金額を、支払う意思がある」とは…
独自の解釈に終始していた被告が、ここまで立派にコンプライアンスを実践できる様になるとは…
法令・判例の見地による反論もしっかり盛り込まれているし、まったく泣かせるじゃありませんか。
原告の請求1,768,231円(付加金を除く)のうち、約 150万円については支払いを認めている様です。
…なんてね。
たとえ一部でも、賃金の未払いがあった事実を認めたということの重大さを分かっているんでしょうね?
違法行為を自白したからには、今後も(犯罪者に対して)情け容赦なく責任の追及を行いますよ。
着替えについては、以下の要件を満たしており、労働時間と認められる。
1 業務を行なう上で必要不可欠であること
2 会社の指揮命令下で強制的に行なわれていること
事実、「名札は当社の従業員である事を表すものですから、勤務中は必ず所定の場所に正しくつけましょう」「勤務中は規定の制服を正しく着用し、常に清潔を保ちましょう」と、「服務心得」に規定されているし、そもそも、着替えを行う前(退社時は後)、もっと言えばタイムカードの打刻を行う前(後)からして、点呼と施錠(場合によっては商品の納入)を義務付けられた労働であったと言える。
付加金についての言い分は、支払いの情状酌量を図るもので、如何にも惨めな主張ですね。
平成16年10月8日の電話回答時に「閉店後45分間の支払いは認めていない」「申請のないものは支払いを認めていない」と言い切ったじゃないですか(録音してますよ)。その時に会社が支払いを認めたのは、「所定休日日数」に満たない超過勤務に対する二十数万円の支払いのみで、今回認めているものとは桁が違うじゃないか?
今頃になってやっと認めたものまで、はじめから支払いの意思表示があった様な主張は許せない。
そういう意思があるのなら、全従業員への未払いを調査し、当然に支払いを行っていて然るべきであろう。
朝礼・終礼・勉強会等、あくまで任意参加であったとする時間については、被告代理人に伝えたとおり、
私との間で締結したとする 「労使合意(=労働契約)」の契約書を提出してもらいたい。
まさか賃金に係わる契約について、一方的な通達や黙示を論拠にしている訳ではないでしょうからね。
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