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被告 準備書面(2) |
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平成16年(ワ)第999号
原告 金時 貢
被告 株式会社 丸得システム・プランニング
準備書面(2)
帝国地方裁判所民事係 御中
被告代理人弁護士 天佑 神助 (印)
第1 全体朝礼について
1 被告会社では、毎月1回(原則として第1土曜日)、午前9時から午前9時30分の間、テレビ会議システムを利用して、本社・全店舗合同で全体朝礼を行っていた。
原告が被告会社に勤務していた時期に、行われていた全体朝礼の日時等は、テレビ会議利用状況(乙1)の通りである。
原告の全体朝礼への参加状況は、別紙全体朝礼一覧表の通りである。
2 この全体朝礼は任意参加のものとして行われていた。
全体朝礼が任意参加であったことは、原告を含め従業員がしばしば欠席していた事実から明らかである。
3 任意参加であったため、全体朝礼の時間については、労働時間としては扱わないとの取り扱いをしており、従業員らもこれを了承していた。
4 よって、原告が労働時間として主張している時間のうち、全体朝礼が行われていた時間合計8時間10分、賃金1万1,554円相当についての請求は棄却すべきである。
第2 勉強会について
1 被告会社では、毎月3回程度、終礼後の午後8時30分から午後9時までの間、テレビ会議システムを利用して、本社マネージャーが各店舗従業員に対し、新商品の内容、販売戦略等について講義を行う勉強会を行っていた。
原告が被告会社に勤務していた時期に、行われていた勉強会の日時等は、テレビ会議利用状況(乙1)の通りである。
原告の勉強会への参加状況等は、別紙勉強会一覧表の通りである。
2 この勉強会は、各店舗販売担当者に対し、新商品や販売戦略に関する知識を得る機会を与えるために、行われていたのものである。
そのため、全店舗が閉店業務を終了した後に、30分程度行われていた。
また、全体朝礼と同様に、テレビ会議システムを使用して行っていた。
この勉強会も、任意参加であった。
3 よって、原告が労働時間として主張している時間のうち、勉強会が行われていた時間合計22時間15分、賃金3万1,739円相当についての請求は棄却すべきである。
4 また、この勉強会は、閉店業務終了後に行われていたものであり、勉強会終了後には、業務は行われていなかった。
よって、原告が労働時間として主張している時間のうち、勉強会が行われていた日における、午後9時以降の労働時間合計17時間13分、賃金2万4,525円相当についての請求は棄却すべきである。
第3 タイムカードの押し忘れについて
1 原告が勤務していた当時、被告会社の店長をしていたHによると、Hが退社する際、被告のタイムカードの押し忘れに気づいて、代わりに打刻したことが何度かあったとのことであった。
2 そこで、原告のタイムカードと他の社員のタイムカードを被告会社が調査したところ、月1回程度であるが、他の酒田店社員と比べて被告(原告の間違い?)の退社時間の打刻が遅く、店長の退社時間の打刻と近接している、明らかに押し忘れであるものが見つかった。
押し忘れのあった年月日、他の社員の打刻時間=実際の原告の退社時間については、別紙押し忘れ一覧表の通りである。
3 タイムカードの押し忘れにより、打刻時間が遅れた時間については、労働時間にあたらないことは明らかである。
よって、原告が労働時間として主張している時間のうち、押し忘れにより打刻が遅れた時間合計7時間14分、賃金1万428円相当についての請求は棄却すべきである。
第4 出社前の着替えについて
1 被告会社では、社員は、出社時は、タイムカードを打刻してから、制服に着替えていた。
2 勤務開始にあたっての着替えの時間は労働時間に含まれないので、原告の主張する労働時間のうち、出社時の着替時間に相当する時間合計27時間45分(着替え時間を1日あたり3分として、勤務日数を乗じた時間を着替え時間として、基本給を基礎に算出)、賃金3万1,207円相当についての請求は棄却すべきである。
第5 タイムカード上の残業時間における怠業について
1 被告会社においては、通常、午後8時10分くらいには、終礼が終了し、その後は、タイムカードを打刻しないまま、各社員ともに喫煙や、インターネット閲覧をしていたり、雑誌を読んだりしていることが多かった。
これは原告も、例外ではなかった。
2 被告会社は、社員から、正規の手続きで残業代の支給申請を受ければ、明らかに問題がない限り、支払うよう取り扱っていた。
これは、原告からの請求についても、例外ではなく、従前、原告から正規の手続きを経た請求をうけて、これを拒否したことはない。
3 タイムカードによる打刻時間は、必ずしも、労働時間とは一致しない。
そこで、被告会社においては、正規の労働時間と、そうでない時間とを区別するために、従業員が残業代を申請する際に、店長の承認を得て申請する手続きをとっていた。
こうした手続きを取っていたことは、被告会社が支払いを拒んでいた事実を意味しない。
4 原告が、こうした手続きにより、残業代を請求しなかった事実は、原告自身、労働の実態がなかったことを認めていたからであると思われる。
5 終礼後の労働の事実の有無については、さらに客観的資料を調査して明らかにする予定でいる。
第6 証拠方法
1 乙第1号証 テレビ会議利用状況 1通
2 乙第2号証の1〜 従業員のタイムカード (写し) 各1通
以上
別紙
1 全体朝礼一覧表
2 勉強会一覧表
3 押し忘れ一覧表
※「任意参加」「無給取り扱いの労使合意」との主張は、もう、いい加減飽きました。 眠たいよホント。
一方で本社監督下にあった事実を認めて一覧表を添え、一方でそれらを労働とは認めていない。
被告自身が「実際の退社時刻」として閉店後の拘束を認定し、それでも労働時間とは認めない。
結局、何が言いたいのかよく分からない。 自分に不利な証拠で墓穴を掘っている気がする……
(わざわざテレビ会議の一覧を表にまとめてくれるとは、こちらの手間が省けました。有り難いな)
この手の事件ではお約束である、「喫煙怠業論」が出ましたね。 きっと本社は全館禁煙なんでしょう。
それとも喫煙の度に「申請」「承認」しているのかな? まったく愛煙家は肩身が狭いですよね〜
(その後私も禁煙し、無事に1年が過ぎました。公共施設の全面禁煙前に辞められてよかった;)
着替えを1日3分として云々言ってますけど、だったら打刻前の労働についても請求すれば良かった。
事業所に入所する時点で点呼があったし、施錠を義務付けられていたから、ここから既に労働時間
として認められるんだよな(荷受もしてたし)。 まあ、原告側はそんな惨めな主張はしませんけど。
(1回の着替えに要する時間は15秒以内であった。 なんてショボイ主張する気にもなれません)
※被告会社のいう「制服」とは、特別な衣服ではなく、ただのエプロン一枚のことを指します。
元所属長の証言を出すなら、会社に都合の良い部分のみを利用するのではなく、聞いた事実の
全てを述べないのは不公平ではないですか? こちらもその(H氏、社長、総務主任、代理人による)
会談の内容を把握しています。 会社側にとって不利な事実も多くあったはずですよ。
何なら一同を証人尋問申請し、会談内容の全てを再度法廷で証言していただきましょうか?
しかし、何故被告の主張には、法令や判例に基づく反論、解釈が一切ないのでしょうか。
被告本社には無理でも、代理人は弁護士でしょ? こちらは素人(無知な一労働者)ですよ。
独自基準はいいから、そろそろ法的見地から建設的に議論しませんか。 違反してないんでしょ?
続けて、原告の準備書面による主張を、被告のそれと比較しながらご覧下さい。
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